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正誤表 政府によるGHS分類結果(Excel、HTML) | 化学物質管理 | 製品評価技術基盤機構 ghs h27 seigo

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(1)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

H27-A- 006/C-006A_P

テルブホス 13071-79-9 眼に対する重篤な 損傷性/眼刺激性

分類できな い

- - - - データ不足のため分類できない。なお、ACGIH (7th,

2002) には、ウサギに本物質0.5 mLを適用した眼一 次刺激性試験で、全動物が24時間以内に死亡したと の記載 (PATTY (6th, 2012)、JMPR (2003)、ACGIH (7th, 2002)) がある。

分類できな い

- - - - データ不足のため分類できない。なお、ACGIH (7th,

2002) には、ウサギに本物質0.5 mL又は0.1 mLを適 用した眼一次刺激性試験で、全動物が24時間以内に 死亡したとの記載 (PATTY (6th, 2012)、JMPR (2003)、ACGIH (7th, 2002)) がある。

2017.11修正 2017.11修正

-

-ブテン異性体混合物に関する反復投与毒性情報は ない。

実験動物における吸入経路での毒性情報が異性体 である1-ブテン、2-ブテン、イソブテンで得られてい る。経口経路での毒性情報がイソブテンで得られて いる。

吸入経路では、1-ブテン、2-ブテンについては、ラット を用いた吸入経路での反復投与毒性・生殖発生毒性 併合試験において5,000 ppmあるいは8,000 ppmまで の用量で毒性所見はみられていない (SIDS (2012))。 これは区分2を超える用量に相当する。しかし、これら の試験はスクリーニング試験であるため十分な情報 でなく分類できない。イソブテンについては、ラットを 用いた14週間吸入毒性試験で鼻腔の鼻咽頭管の杯 細胞のわずかな肥大が最低濃度の500 ppmからみら れ、105週間吸入毒性試験において鼻腔の鼻咽頭管 の杯細胞のわずかな肥大、鼻腔の嗅上皮の硝子変 性の増加が最低濃度の500 ppmからみられている。 マウスでは14週間吸入毒性試験において影響はみら れず、105週間吸入毒性試験では鼻腔の呼吸上皮の 硝子変性の増加が最低濃度の500 ppmから、嗅上皮 の硝子変性の増加が2,000 ppmからみられている (NTP TR487 (1998)) 。しかし、SIDS (2012) では、こ れら鼻腔粘膜にみられた影響は刺激性物質に対する 非特異的な適応性反応であり、有意な毒性影響とは しておらず、ラットを用いた14週間吸入毒性試験の NOAELは8,000 ppm (ばく露条件による換算値:6,222 ppm)、105週間吸入毒性試験のNOAELは2,000 ppm 、マウスを用いた14週間吸入毒性試験のNOAELは 8,000 ppm (ばく露条件による換算値:6,222 ppm)、 105週間吸入毒性試験のNOAELは8,000 ppm として いる (SIDS (2012))。したがって、区分外に相当する。 また、イソブテンをフリーザー内でオリーブ油に溶かし た溶液によるラットを用いた28日間強制経口投与毒 性試験において、最高用量の150 mg/kg/day (投与 日数による換算値:46.7 mg/kg/day) まで影響がみら れていないが、区分2の範囲内であるため分類できな い (SIDS (2012))。

ブテン異性体混合物は気体であり、吸入経路が主な ばく露経路と考えられることから、区分外と推定され るが、データ不足のため分類できないとした。

ブテン異性体混合物に関する反復投与毒性情報は ない。

実験動物における吸入経路での毒性情報が異性体 である1-ブテン、2-ブテン、イソブテンで得られてい る。経口経路での毒性情報がイソブテンで得られて いる。

吸入経路では、1-ブテン、2-ブテンについては、ラット を用いた吸入経路での反復投与毒性・生殖発生毒性 併合試験において5,000 ppmあるいは8,000 ppmまで の用量で毒性所見はみられていない (SIDS (2012))。 これは区分2を超える用量に相当する。しかし、これら の試験はスクリーニング試験であるため十分な情報 でなく分類できない。イソブテンについては、ラットを 用いた14週間吸入毒性試験で鼻腔の鼻咽頭管の杯 細胞のわずかな肥大が最低濃度の500 ppmからみら れ、105週間吸入毒性試験において鼻腔の嗅上皮の 硝子変性の増加が最低濃度の500 ppmからみられて いる。マウスでは14週間吸入毒性試験において影響 はみられず、105週間吸入毒性試験では鼻腔の呼吸 上皮の硝子変性の増加が最低濃度の500 ppmから、 嗅上皮の硝子変性の増加が2,000 ppmからみられて いる (NTP TR487 (1998)) 。しかし、SIDS (2012) で は、これら鼻腔粘膜にみられた影響は刺激性物質に 対する非特異的な適応性反応であり、有意な毒性影 響とはしておらず、ラットを用いた14週間吸入毒性試 験のNOAELは8,000 ppm (ばく露条件による換算値: 6,222 ppm)、105週間吸入毒性試験のNOAELは2,000 ppm 、マウスを用いた14週間吸入毒性試験の NOAELは8,000 ppm (ばく露条件による換算値:6,222 ppm)、105週間吸入毒性試験のNOAELは8,000 ppm としている (SIDS (2012))。したがって、区分外に相当 する。

また、イソブテンをフリーザー内でオリーブ油に溶かし た溶液によるラットを用いた28日間強制経口投与毒 性試験において、最高用量の150 mg/kg/day (投与 日数による換算値:46.7 mg/kg/day) まで影響がみら れていないが、区分2の範囲内であるため分類できな い (SIDS (2012))。

ブテン異性体混合物は気体であり、吸入経路が主な ばく露経路と考えられることから、区分外と推定され るが、データ不足のため分類できないとした。

H27-A- 001/C-001A_P

ブテン (全異性体) 25167-67-3 特定標的臓器毒性 (反復暴露)

分類できな い

- - - - 分類できな

-

-物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

(2)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

2017.11修正

H27-A- 009/C-009A_P

滑石 (タルク) (アスベ スト、石英を含まず)

14807-96-6 発がん性 分類できな い

- - - - 分類できな

- - -

-初期の疫学研究ではアスベスト繊維を含有しないタ ルク (石英を含有) を職業的に吸入ばく露したヒトのコ ホート研究、5件中4件で中皮腫は認められず、タルク への累積ばく露量が高レベルのコホート研究2件にお ける高ばく露群の肺腫瘍発生率は全5件のデータを 統合した肺腫瘍発生率より低値であった (IARC 93 (2010))。一方、1件のコホート研究報告で、亜集団に 肺腫瘍発生率の増加がみられたが、この集団はラド ンと石英に共ばく露され、コホート全体では肺腫瘍の 発生率増加はみられていない (IARC 93 (2010))。ま た、コホート内症例対照研究においても、タルク粉じ んへの累積吸入ばく露量の増加に伴う肺がんリスク の増加傾向は示されなかった (IARC 93 (2010))。実 験動物でも、ラット、又はマウスに粒子径の小さい (粒 子径10μm以下) 高純度 (繊維成分及びアスベスト様 無機物を含まない) のタルクを2年間以上吸入ばく露 (8又は16 mg/m3) した発がん性試験において、いず れの種でも肺腫瘍の発生率増加はなく、特にラットで は肺に非腫瘍性変化が顕著に認められる濃度 (16 mg/m3) においても、肺腫瘍の発生率の増加はみら れていない (IARC 93 (2010)、ACGIH (7th, 2010)、 NTP TR421 (1993))。

一方、欧米ではタルクをベースとしたボディーパウ ダーがナプキンや避妊用具を介して女性の会陰部、 生殖器官へ適用されてきた。IARCは全体で1件の前 向きコホート研究、及び19件の症例対照研究を総括 し、化粧用タルクの使用と卵巣がんのリスクの増加に 関して、相対リスクの増加が多くの報告で示され、局 所適用したタルクが卵巣へ逆行的に移行するという 証拠は健常な女性では低いが、外科手術等によりク リアランス機能が低下した女性では逆行性移行の証 拠が一定程度あるとして、タルク含有ボディーパウ ダーの会陰部使用による卵巣がんのリスク増加には 限定的な証拠があると結論した (IARC 93 (2010))。 以上より、IARCはアスベスト、及びアスベスト様繊維 を含有しないタルクについて、吸入経路ではグループ 3に、タルクをベースとしたボディーパウダーの会陰部 適用ではグループ2Bに分類した (IARC 93 (2010))。 ACGIHはIARCによる発がん性評価結果を踏まえつつ も、発がん性分類は職業ばく露のみに限定してA4に 分類した (ACGIH (7th, 2010))。本評価ではIARCの 「タルクベースの製品の会陰部適用でのグループ 2B」は極めて限定された本物質の特異な用途及び適 用経路における発がん性分類結果と判断し、本項の 分類のための総合評価の観点からはこれを除外する こととした。その上で、IARCの吸入経路での分類結 果、並びにACGIHの分類結果が妥当と判断し、本項 はアスベスト (又はアスベスト様繊維、無機物) を含 有しないタルクに対して、「分類できない」とした。

初期の疫学研究ではアスベスト繊維を含有しないタ ルク (石英を含有) を職業的に吸入ばく露したヒトのコ ホート研究、5件中4件で中皮腫は認められず、タルク への累積ばく露量が高レベルのコホート研究2件にお ける高ばく露群の肺腫瘍発生率は全5件のデータを 統合した肺腫瘍発生率より低値であった (IARC 93 (2010))。一方、1件のコホート研究報告で、亜集団に 肺腫瘍発生率の増加がみられたが、この集団はラド ンと石英に共ばく露され、コホート全体では肺腫瘍の 発生率増加はみられていない (IARC 93 (2010))。ま た、コホート内症例対照研究においても、タルク粉じ んへの累積吸入ばく露量の増加に伴う肺がんリスク の増加傾向は示されなかった (IARC 93 (2010))。実 験動物でも、ラット、又はマウスに粒子径の小さい (粒 子径10μm以下) 高純度 (繊維成分及びアスベスト様 無機物を含まない) のタルクを2年間以上吸入ばく露 (6又は18 mg/m3) した発がん性試験において、いず れの種でも肺腫瘍の発生率増加はなく、特にラットで は肺に非腫瘍性変化が顕著に認められる濃度 (18 mg/m3) においても、肺腫瘍の発生率の増加はみら れていない (IARC 93 (2010)、ACGIH (7th, 2010)、 NTP TR421 (1993))。

(3)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

2017/2/23 修正 79-94-7

テトラブロモビスフェ ノールA

H27-A- 033/C-063A_P

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

危険 健康有害性 区分1B

追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

-区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

生殖毒性 ヒトでの本物質ばく露による生殖発生影響に関する

報告はない。ただし、ドイツ及びノルウェーでの研究 では、母乳サンプルの分析の結果、母乳脂質成分か ら本物質が検出されている (EU-RAR (2006))。 実験動物ではラットに本物質を強制経口投与した2世 代生殖毒性試験において、親動物ではF0、F1世代の 100 mg/kg/day以上で血清T4レベルの低値 (F0は雄 のみ)、1,000 mg/kg/dayでF1親動物に体重増加抑制 がみられたのみで、F0、F1親動物の生殖能、並びに F1及びF2児動物の生後の発達への影響、さらに、F2 児動物に対して生後13~60日に実施した神経行動 学的検査 (自発運動、学習・記憶能力、脳・神経系の 病理組織所見) において、いずれも 1,000 mg/kg/day まで有害影響は示されなかった (EU-RAR (2006))。 また、妊娠ラットに強制経口投与した発生毒性試験で は、妊娠0~19日まで妊娠期間を通して、最大1,000 mg/kg/dayを投与した試験、同様に最大2,500 mg/kg/dayを投与した試験において、いずれも妊娠 20日の剖検で、母動物、胎児ともに異常は認められ ていない (EU-RAR (2006)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。さらに、妊娠ラットに50、又は 250 mg/kg/dayの用量で妊娠7日~生後17日まで強制経 口投与した神経発達毒性試験 (OECD TG 426) にお いて、250 mg/kg/dayでは母動物には毒性影響はな く、F1児動物にはF1雌で生後21日に運動活性を指標 とした (環境) 馴化能 (habituation capability) の低 下、F1雄には生後9~13週齢にMorris水迷路による 学習・記憶能の低下 (遊泳移動距離の有意な増加) が観察されたが、影響の大きさが小さく、測定時点で 一貫性がなく、被験物質投与による影響かどうか結 論できなかったと記述されている (EU-RAR (2006))。 この報告の後に、本物質の胎生期、新生児期ばく露 による神経発達毒性影響に関して、以下に示すごと く、様々な検討がなされ報告されている。

EUの臭素系難燃剤に関するリスク評価プロジェクトに おいて、雌雄ラットに本物質を3~3,000 mg/kg/dayの 用量範囲で、交配前から投与した1世代生殖毒性試 験において、親動物には甲状腺ホルモン (血中サイ ロキシン (T4)) レベルの低下が示されたが、児動物 の聴覚反応、条件回避行動などの神経行動検査に 影響はみられなかった。しかしながら、生後50~110 日齢で実施された聴覚脳幹誘発電位による電気生理 学的な聴覚反応検査の結果、第IV波発生までの潜 時の延長など、難聴を示す所見がみられたと報告さ れている (Lilienthal, H. et al., Toxicology, 246(1) (2008); Van der Ven, L.T. et al., Toxicology, 245(1-2) (2008))。一方、妊娠ラットに本物質を100~10,000 ppm の用量で妊娠10日から分娩後20日まで混餌投 与した実験において、生後20日の新生児に海馬の免 疫組織染色を施した結果、海馬歯状回の顆粒細胞下 帯でアポトーシス小体の増加がみられ、神経発生障 害を示唆する所見とされた。この所見は他の臭素系 難燃剤 (デカブロモジフェニルエーテル (DBDE)、ヘキ サシクロブロモドデカン (HBCD)) でもみられたが、生 後20日の血液検査でDBDE及びHBCDでは軽度の甲 状腺ホルモン低下症を示す変動がみられたのに対 し、本物質投与群では甲状腺ホルモンの変動は示さ れなかった。したがって、著者らは本物質は甲状腺ホ ルモンを介してではなく、胎生期から新生児期にかけ て脳の神経発達に対し直接的な作用を示す可能性 があると考察している (Saegusa, Y. et al., Arch. Toxicol., 86(9) (2012))。しかし、米国で実施されたラッ ト2世代生殖毒性試験では、F0、F1親動物に血清T4 レベルの低下がみられたものの、親動物の生殖能、 児動物の一般的な神経行動学的検査項目の範囲で は、1,000 mg/kg/dayまで生殖発生への影響はみら れなかった。ただし、1,000 mg/kg/dayでは、11日齢 のF2児動物に頭頂骨皮質の厚さの軽度減少がみら れたが、病理組織学的変化を伴わず、生物学的意義 は不明と報告されている (Cope, R. B. et al., Toxicology, 329 (2015))。

以上、2006年のEU-RARの評価以降、本物質経口ば く露による影響に関して、妊娠期・授乳期への投与に より新生児の神経発生・発達への有害影響を示唆す る知見が報告され、特に海馬の組織における形態学

ヒトでの本物質ばく露による生殖発生影響に関する 報告はない。ただし、ドイツ及びノルウェーでの研究 では、母乳サンプルの分析の結果、母乳脂質成分か ら本物質が検出されている (EU-RAR (2006))。 実験動物ではラットに本物質を強制経口投与した2世 代生殖毒性試験において、親動物ではF0、F1世代の 100 mg/kg/day以上で血清T4レベルの低値 (F0は雄 のみ)、1,000 mg/kg/dayでF1親動物に体重増加抑制 がみられたのみで、F0、F1親動物の生殖能、並びに F1及びF2児動物の生後の発達への影響、さらに、F2 児動物に対して生後13~60日に実施した神経行動 学的検査 (自発運動、学習・記憶能力、脳・神経系の 病理組織所見) において、いずれも 1,000 mg/kg/day まで有害影響は示されなかった (EU-RAR (2006))。 また、妊娠ラットに強制経口投与した発生毒性試験で は、妊娠0~19日まで妊娠期間を通して、最大1,000 mg/kg/dayを投与した試験、同様に最大2,500 mg/kg/dayを投与した試験において、いずれも妊娠 20日の剖検で、母動物、胎児ともに異常は認められ ていない (EU-RAR (2006)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。さらに、妊娠ラットに50、又は 250 mg/kg/dayの用量で妊娠7日~生後17日まで強制経 口投与した神経発達毒性試験 (OECD TG 426) にお いて、250 mg/kg/dayでは母動物には毒性影響はな く、F1児動物にはF1雌で生後21日に運動活性を指標 とした (環境) 馴化能 (habituation capability) の低 下、F1雄には生後9~13週齢にMorris水迷路による 学習・記憶能の低下 (遊泳移動距離の有意な増加) が観察されたが、影響の大きさが小さく、測定時点で 一貫性がなく、被験物質投与による影響かどうか結 論できなかったと記述されている (EU-RAR (2006))。 この報告の後に、本物質の胎生期、新生児期ばく露 による神経発達毒性影響に関して、以下に示すごと く、様々な検討がなされ報告されている。

EUの臭素系難燃剤に関するリスク評価プロジェクトに おいて、雌雄ラットに本物質を3~3,000 mg/kg/dayの 用量範囲で、交配前から投与した1世代生殖毒性試 験において、親動物には甲状腺ホルモン (血中サイ ロキシン (T4)) レベルの低下が示されたが、児動物 の聴覚反応、条件回避行動などの神経行動検査に 影響はみられなかった。しかしながら、生後50~110 日齢で実施された聴覚脳幹誘発電位による電気生理 学的な聴覚反応検査の結果、第IV波発生までの潜 時の延長など、難聴を示す所見がみられたと報告さ れている (Lilienthal, H. et al., Toxicology, 246(1) (2008); Van der Ven, L.T. et al., Toxicology, 245(1-2) (2008))。一方、妊娠ラットに本物質を100~10,000 ppm の用量で妊娠10日から分娩後20日まで混餌投 与した実験において、生後20日の新生児に海馬の免 疫組織染色を施した結果、海馬歯状回の顆粒細胞下 帯でアポトーシス小体の増加がみられ、神経発生障 害を示唆する所見とされた。この所見は他の臭素系 難燃剤 (デカブロモジフェニルエーテル (DBDE)、ヘキ サシクロブロモドデカン (HBCD)) でもみられたが、生 後20日の血液検査でDBDE及びHBCDでは軽度の甲 状腺ホルモン低下症を示す変動がみられたのに対 し、本物質投与群では甲状腺ホルモンの変動は示さ れなかった。したがって、著者らは本物質は甲状腺ホ ルモンを介してではなく、胎生期から新生児期にかけ て脳の神経発達に対し直接的な作用を示す可能性 があると考察している (Saegusa, Y. et al., Arch. Toxicol., 86(9) (2012))。しかし、米国で実施されたラッ ト2世代生殖毒性試験では、F0、F1親動物に血清T4 レベルの低下がみられたものの、親動物の生殖能、 児動物の一般的な神経行動学的検査項目の範囲で は、1,000 mg/kg/dayまで生殖発生への影響はみら れなかった。ただし、1,000 mg/kg/dayでは、11日齢 のF2児動物に頭頂骨皮質の厚さの軽度減少がみら れたが、病理組織学的変化を伴わず、生物学的意義 は不明と報告されている (Cope, R. B. et al., Toxicology, 329 (2015))。

(4)

-分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

2017/2/23 修正 P201: 使用前に取

扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

- - - - 健康有害性危険 H360: 生殖能また

は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

ヒトでは摂取したヨウ素の体外への一排泄経路とし て、母乳中排泄があり、放射性ヨウ素を投与した研究 結果から、吸収されたヨウ素の母乳への排泄率は甲 状腺組織機能の状態により異なり、甲状腺機能亢進 症の患者にヨウ化ナトリウム (Na123I) を経口投与後 5.5日間に母乳中へ投与放射能の約2.5%が排泄され たとの報告 (CICAD 72 (2009))、同様に甲状腺機能 亢進症患者で母乳中ヨウ素排泄率が約2.6%であっ たとの報告 (CICAD 72 (2009)) があるのに対し、甲状 腺機能低下症の患者では放射性ヨウ化ナトリウムを 経口投与後41時間以内に投与放射能の25%が母乳 中に排泄されたとの報告がある (CICAD 72 (2009)、 ATSDR (2004))。ヒトでのヨウ素過剰摂取による健康 影響としては、甲状腺腫、甲状腺機能障害、新生児、 及び小児ではそれに関連したクレチン症、脳機能障 害などが、また成人では生殖器系への二次的影響と して、子宮出血、無排卵を含め月経周期異常を生じ る可能性がある (ATSDR (2004)) との記述がある。 一方、実験動物ではヨウ素を妊娠ラットの妊娠期後 半の12日間混餌投与 (2,500 mg/kg/day) した結果、 母動物の25%が難産で分娩遅延をきたし、新生児死 亡率の増加がみられたとの報告 (CICAD 72 (2009))、 及び妊娠ウサギにヨウ化物 (本物質かは不明) を分 娩前の2日間経口投与 (250 mg/kg/day) で、新生児 の2/3が死亡したとの報告がある (CICAD 72 (2009))。

以上、ヒトでヨウ素の過剰摂取により、甲状腺機能障 害をきたし、二次的影響として月経異常など性機能 への影響が生じる可能性があること、吸収されたヨウ 素が母乳中に排泄されるとの知見があること、母乳を 介して新生児に移行したヨウ素が乳幼児の発達障害 を及ぼす可能性が考えられる。ヨウ化物への過剰ば く露による生殖毒性のヒトでの証拠は十分とは言え ず、本項は区分1B として、授乳影響の区分を追加し た。

ヒトでは摂取したヨウ素の体外への一排泄経路とし て、母乳中排泄があり、放射性ヨウ素を投与した研究 結果から、吸収されたヨウ素の母乳への排泄率は甲 状腺組織機能の状態により異なり、甲状腺機能亢進 症の患者にヨウ化ナトリウム (Na123I) を経口投与後 5.5日間に母乳中へ投与放射能の約2.5%が排泄され たとの報告 (CICAD 72 (2009))、同様に甲状腺機能 亢進症患者で母乳中ヨウ素排泄率が約2.6%であっ たとの報告 (CICAD 72 (2009)) があるのに対し、甲状 腺機能低下症の患者では放射性ヨウ化ナトリウムを 経口投与後41時間以内に投与放射能の25%が母乳 中に排泄されたとの報告がある (CICAD 72 (2009)、 ATSDR (2004))。ヒトでのヨウ素過剰摂取による健康 影響としては、甲状腺腫、甲状腺機能障害、新生児、 及び小児ではそれに関連したクレチン症、脳機能障 害などが、また成人では生殖器系への二次的影響と して、子宮出血、無排卵を含め月経周期異常を生じ る可能性がある (ATSDR (2004)) との記述がある。 一方、実験動物ではヨウ素を妊娠ラットの妊娠期後 半の12日間混餌投与 (2,500 mg/kg/day) した結果、 母動物の25%が難産で分娩遅延をきたし、新生児死 亡率の増加がみられたとの報告 (CICAD 72 (2009))、 及び妊娠ウサギにヨウ化物 (本物質かは不明) を分 娩前の2日間経口投与 (250 mg/kg/day) で、新生児 の2/3が死亡したとの報告がある (CICAD 72 (2009))。

以上、ヒトでヨウ素の過剰摂取により、甲状腺機能障 害をきたし、二次的影響として月経異常など性機能 への影響が生じる可能性があること、吸収されたヨウ 素が母乳中に排泄されるとの知見があること、母乳を 介して新生児に移行したヨウ素が乳幼児の発達障害 を及ぼす可能性が考えられる。ヨウ化物への過剰ば く露による生殖毒性のヒトでの証拠は十分とは言え ず、本項は区分1B として、授乳影響の区分を追加し た。

H27-B- 019/C-040B_P

ヨウ化カリウム 7681-11-0 生殖毒性 区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

本物質自体の生殖毒性に関する情報はない。しか し、金属テルル、又は不溶性の二酸化テルルでは妊 娠ラットの器官形成期への経口ばく露により奇形誘 発がみられ、新生児ラットも母動物からの授乳による テルルばく露による影響として脳神経系発達障害を 示すとの知見がある (DFGOT vol. 22 (2006)、HSDB (Access on September 2015) ことから、テルルについ ての本項の分類は区分1Bとし、追加区分として授乳 影響を付した (詳細はテルル (CAS No: 13494-80-9) の本項を参照のこと)。本物質は水中で分解すること から、少なくとも経口経路ではテルルの分類結果が 適用可能と考えられる。よって、本項もテルルと同 様、分類結果は区分1Bとし、授乳影響を追加した。

2017/2/23 修正

- - -

- H27-A- 048/C-123A_P

四塩化テルル 10026-07-0 生殖毒性 区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

危険 健康有害性 区分1B

(5)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

H27-B- 028/C-049B_P

ペルフルオロオクタン 酸

335-67-1 急性毒性(経口) 区分4 感嘆符 警告 H302 : 飲み込むと 有害

P301+P312 : 飲み 込んだ場合:気分 が悪いときは医師 に連絡すること。 P362+P364 : 汚染 された衣類を脱ぎ、 再使用する場合に は洗濯をすること。 P264 : 取扱い後 は...よく洗うこ と。

P270 : この製品を 使用するときに、飲 食又は喫煙をしな いこと。

P330 : 口をすすぐこ と。

P501 : 内容物/容 器を...に廃棄す ること。

ラットのLD50値として、136-866 mg/kgの範囲内で14 件の報告 (PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の 提案理由書 (2010)、The Pesticide Manual (Fifteenth Edition, 2009)、The WHO recommended classification of pesticides by hazard and guidelines to

classification (2009)、EPA Pesticide (2006)、ACGIH (7th, 2003)、EPA Pesticide (2001)、JECFA (2000)、 EHC 132 (1992)、IARC vol. 30 (1983)、IPCS, PIM G001 (Access on June 2015)) がある。そのうちの1 件が区分3に該当し、8件が区分4に該当するので、最 も多くのデータが該当する区分4とした。なお、5件は 複数データをまとめた値であるため、該当数に含めな かった。旧分類根拠の農薬登録申請資料 (1998) の 情報 (ラットのLD50値として、253 mg/kg) に代えて、 今回の調査で新たに入手した優先度の高いPATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2010)、EPA Pesticide (2006)、ACGIH (7th, 2003)、 EPA Pesticide (2001)、EHC 132 (1992)、IARC vol. 30 (1983)、IPCS, PIM G001 (Access on June 2015)、 WHO recomended classification of pesticide及び Pesticide manualの情報を追加し、区分を見直した。 WHO recomended classification of pesticide及び Pesticide manualでは、ラットの経口LD50値として、 250mg/kgを掲載し、区分3としているが、複数データ の代表値であり、他データと重複するために、該当数 に含めなかった。

区分4 感嘆符 警告 H302 : 飲み込むと 有害

P301+P312 : 飲み 込んだ場合:気分 が悪いときは医師 に連絡すること。 P362+P364 : 汚染 された衣類を脱ぎ、 再使用する場合に は洗濯をすること。 P264 : 取扱い後 は...よく洗うこ と。

P270 : この製品を 使用するときに、飲 食又は喫煙をしな いこと。

P330 : 口をすすぐこ と。

P501 : 内容物/容 器を...に廃棄す ること。

ラットのLD50値として、500-1,000 mg/kg (雄)、250-1,000 mg/kg (雌) (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)) との2件の報告がある。1件が区分4に該当 し、もう1件からは区分を特定できないので、区分4と した。今回の調査で入手した産衛学会許容濃度の提 案理由書 (2008) の情報を追加し、区分を見直した。

2017/2/23 修正

H27-B- 028/C-049B_P

ペルフルオロオクタン 酸

335-67-1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2003)、EHC 132 (1992)、IARC vol. 30 (1983))、2,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2003)、EHC 132 (1992)、IARC vol. 30 (1983))、> 5,000 mg/kg (産衛学会許容濃度の 提案理由書 (2010)) との3件の報告がある。1件は区 分を特定できないが、2件が区分外 (うち、1件は国連 分類基準の区分5) に該当する。ウサギのLD50値とし て、5,000 mg/kg (EHC 132 (1992)) との報告があり、 区分外に該当する。以上の結果から、区分外とした。

分類できな い

- - - - データ不足のため分類できない。なお、本物質のアン

モニウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLD50値として、7,000 mg/kg (雄)、> 7,500 mg/kg (雌) (環境省リスク評価第 9巻 (2011)、SIDS (2009))、ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2009))、4,300 mg/kg (環境省リス ク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) との報告がある。

2017/2/23 修正 2017/2/23 修正 区分1B

追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響 生殖毒性

7783-96-2 ヨウ化銀 (I)

H27-B- 020/C-041B_P

- 本物質自体の生殖毒性に関する情報はない。しかし

ながら、特定標的臓器毒性 (反復暴露) の項に記述 したように、本物質は吸入経路で吸収され、その毒性 はヨウ素及びヨウ化物、銀化合物の毒性を反映する と考えられた。ヨウ化物の本項の分類に関して、ヨウ 化カリウム (CAS番号: 7681-11-0) では区分1B、追 加区分:授乳影響 とした。ただし、この分類の根拠 データは概してヒトにおける経口経路での知見に基 づいている。Willard, D.H. and Bar, W.J. (1961) の報告 には、Ag131Iの経口投与での吸収実験はマウスでは 実施しておらず、Na131IとAg131Iをヒツジ各1頭に対し 強制経口投与後に甲状腺の131I取込み量は同程度 (131Iの投与量に対する甲状腺組織の最大取り込み 率:NaI、AgI で各々56% (28時間後) 及び48% (34時間 後)) であったとの結果が示されているだけで、ヨウ化 銀の経口経路での吸収性は可溶性ヨウ化物と同様 に良好であるとは言えない。しかし、本物質を吸入し た場合には、吸収され血中でヨウ化物としてヨウ化カ リウム経口投与に相当する毒性が発現すると想定さ れるため、ヨウ化カリウムの分類区分が本物質にも 適用できると判断した。よって、本項は区分1Bとし、 授乳影響を追加した。

なお、銀化合物の生殖影響に関しては硝酸銀を妊娠 サルの子宮内への直接注入により流産を生じた、或 いは乳酸銀を妊娠ラットに腹腔内注射により新生児 の脳内で銀が検出されたなどの知見はある (ATSDR (1990)、ACGIH (7th, 2001)) が、本項の分類に利用可 能な知見はない。

区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響 本物質自体の生殖毒性に関する情報はない。しかし ながら、特定標的臓器毒性 (反復暴露) の項に記述 したように、本物質は吸入経路で吸収され、その毒性 はヨウ素及びヨウ化物、銀化合物の毒性を反映する と考えられた。ヨウ化物の本項の分類に関して、ヨウ 化カリウム (CAS番号: 7681-11-0) では区分1B、追 加区分:授乳影響 とした。ただし、この分類の根拠 データは概してヒトにおける経口経路での知見に基 づいている。Willard, D.H. and Bar, W.J. (1961) の報告 には、Ag131Iの経口投与での吸収実験はマウスでは 実施しておらず、Na131IとAg131Iをヒツジ各1頭に対し 強制経口投与後に甲状腺の131I取込み量は同程度 (131Iの投与量に対する甲状腺組織の最大取り込み 率:NaI、AgI で各々56% (28時間後) 及び48% (34時間 後)) であったとの結果が示されているだけで、ヨウ化 銀の経口経路での吸収性は可溶性ヨウ化物と同様 に良好であるとは言えない。しかし、本物質を吸入し た場合には、吸収され血中でヨウ化物としてヨウ化カ リウム経口投与に相当する毒性が発現すると想定さ れるため、ヨウ化カリウムの分類区分が本物質にも 適用できると判断した。よって、本項は区分1Bとし、 授乳影響を追加した。

なお、銀化合物の生殖影響に関しては硝酸銀を妊娠 サルの子宮内への直接注入により流産を生じた、或 いは乳酸銀を妊娠ラットに腹腔内注射により新生児 の脳内で銀が検出されたなどの知見はある (ATSDR (1990)、ACGIH (7th, 2001)) が、本項の分類に利用可 能な知見はない。

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

(6)

-分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

H27-B- 028/C-049B_P

ペルフルオロオクタン 酸

335-67-1 急性毒性(吸入:粉 塵、ミスト)

区分3 どくろ 危険 H331 : 吸入すると 有毒

P304+P340 : 吸入 した場合:空気の新 鮮な場所に移し、呼 吸しやすい姿勢で 休息させること。 P403+P233 : 換気 の良い場所で保管 すること。容器を密 閉しておくこと。 P261 : 粉じん/煙 /ガス/ミスト/蒸 気/スプレーの吸 入を避けること。 P271 : 屋外又は換 気の良い場所での み使用すること。 P311 : 医師に連絡 すること。 P321 : 特別な処置 が必要である(この ラベルの...を見 よ)。

P405 : 施錠して保 管すること。 P501 : 内容物/容 器を...に廃棄す ること。

ラットのLC50値 (4時間) として、0.533 mg/L (EPA Pesticide (2006)、ACGIH (7th, 2003)、EHC 132 (1992))、> 1.3 mg/L (ACGIH (7th, 2003))、 0.533-1.3 mg/L (PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容 濃度の提案理由書 (2010))、> 2.3 mg/L (The Pesticide Manual (Fifteenth Edition, 2009)、 との4件 の報告がある。2件は区分を特定できなく、1件は複数 データを取りまとめた値であるために、0.533 mg/Lに 基づき、区分3とした。固体であるため、ミスト・ダスト の基準値を適用した。今回の調査で新たに入手した 優先度の高いPATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃 度の提案理由書 (2010)、The Pesticide Manual (Fifteenth Edition, 2009)、EPA Pesticide (2006)、 ACGIH (7th, 2003)、EHC 132 (1992) を追加し、区分 を見直した。

分類できな い

- - - - データ不足のため分類できない。本物質のアンモニ

ウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLC50値 (4時間) とし て980 mg/m3との報告 (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) がある。なお、試験は粉塵で行 われたとの記載、及び飽和蒸気圧濃度0.0014 mg/L よりもLC50値が大きいので粉じん/ミストとみなした。

(7)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

H27-B- 028/C-049B_P

ペルフルオロオクタン 酸

335-67-1 生殖毒性 区分1A 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

- - - - 区分1A 健康有害性

追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

危険 H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

2017/2/23 修正 ヒトでは本物質ばく露と胎児毒性との関連性につい

て、否定的な複数の報告と同時に、以下に記述する ように関連性を示唆する報告も複数ある (産衛学会 許容濃度の暫定値の提案理由 (2014))。米国ボルチ モア市の産婦人科の多施設横断的研究において、臍 帯血中本物質 (PFOA) 濃度が高い妊婦では低体重 児を出産するリスクの増加傾向がみられたとの報 告、デンマークの大規模コホート研究において、妊婦 の血清中PFOA 濃度と新生児の出生児体重との間 に有意な負の相関が認められたとの報告、英国の母 子追跡研究でも、妊婦血清中PFOA濃度と出産児体 重の低下に関連性があったとの報告など (産衛学会 許容濃度の暫定値の提案理由 (2014)) があり、さら に、中国の報告では母乳中に排泄された本物質と乳 児への健康影響との関連性が示唆されたとの記述が ある (SIDS (2009))。

実験動物では本物質のアンモニウム塩 (APFO) を用 いた試験結果があり、ラットに強制経口投与した2世 代生殖毒性試験では、F0、及びF1親動物に影響 (肝 臓重量増加、体重及び体重増加量の低下) のみられ る用量 (1-10 mg/kg/day) で、F1児動物に体重の低 値推移、離乳後早期の死亡率の増加、生成熟遅延 がみられた (SIDS (2009) ; 環境省初期リスク評価第9 巻 (2011))。一方、APFOを用いた発生毒性試験で は、妊娠ラットを用いた経口、及び吸入経路での器官 形成期 (妊娠6-15日) 投与では、顕著な母動物毒性 (死亡例 (3/25 (経口) ; 2/13 (吸入))、嗜眠、体重及び 摂餌量低下など) が発現する用量 (経口: 50-150 mg/kg/day、吸入: 10-25 mg/m3) でも、胎児毒性は みられないか、わずかに胎児重量の低値のみで軽微 であった (SIDS (2009)、環境省初期リスク評価第9巻 (2011))。しかし、妊娠マウスの妊娠1-17日にAPFOを 強制経口投与した発生毒性試験では、母動物に1 mg/kg/day以上で肝臓重量の増加、5 mg/kg/day以 上で体重増加抑制、全胚吸収母動物の増加がみら れ、40 mg/kg/dayでは全例で胚/胎児の完全損失を 生じた。新生児/胎児における発生・発達毒性影響と しては、1 mg/kg/day以上で包皮分離の早期化、3 mg/kg/day以上で離乳後の成長遅延、5 mg/kg/day 以上で死産児、新生児死亡の増加、四肢及び尾の欠 損胎児の増加、開眼日齢の遅延、20 mg/kg/dayで膣 開口の遅延、発情周期の遅延、包皮分類の遅延が 認められた。母動物毒性、胎児毒性ともにマウスでは ラットよりも強く発現し、発生毒性には種差が示唆さ れた (SIDS (2009)、環境省初期リスク評価第9巻 (2011))。さらに、妊娠ラットにAFPOを妊娠4日以降強 制経口投与 (3-30 mg/kg/day) し、分娩後も新生児 の離乳時まで母動物に投与を継続した妊娠期・授乳 期投与試験において、母動物には血清中PFOAだけ でなく、乳汁中にPFOAが検出され、用量依存的な乳 汁中PFOA濃度の増加が認められた (SIDS (2009))。 既存分類としては、日本産業衛生学会がヒトの疫学 研究での胎児毒性、並びに実験動物での胎児毒性 及び発達毒性が明らかであるとして、「生殖毒性第1 群」に (産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由 (2014))、EUのCLP分類で、「Repr1B & Lact.」に分類 されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。以上より、日本産業衛生学会の分類結果に 基づき、本項の分類は区分1Aとし、授乳影響の区分 を追加した。

ヒトでは本物質ばく露と胎児毒性との関連性につい て、否定的な複数の報告と同時に、以下に記述する ように関連性を示唆する報告も複数ある (産衛学会 許容濃度の暫定値の提案理由 (2014))。米国ボルチ モア市の産婦人科の多施設横断的研究において、臍 帯血中本物質 (PFOA) 濃度が高い妊婦では低体重 児を出産するリスクの増加傾向がみられたとの報 告、デンマークの大規模コホート研究において、妊婦 の血清中PFOA 濃度と新生児の出生児体重との間 に有意な負の相関が認められたとの報告、英国の母 子追跡研究でも、妊婦血清中PFOA濃度と出産児体 重の低下に関連性があったとの報告など (産衛学会 許容濃度の暫定値の提案理由 (2014)) があり、さら に、中国の報告では母乳中に排泄された本物質と乳 児への健康影響との関連性が示唆されたとの記述が ある (SIDS (2009))。

(8)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

2017/2/23 修正

H27-B- 035/C-071B_P

ジメチル水銀 593-74-8 生殖毒性 区分1A 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

- - - - 本物質 (ジメチル水銀) に限定した生殖毒性影響の

データはない。しかしながら、Handbook on the Toxicology of Metals (4th, ed., 2015) 中に、本物質は 吸入、又は経皮経路により効率的に吸収され、生体 内では「メチル水銀 (MeHg)」 に変換され、数症例の 致死的ばく露症例における中毒症状の記述から、ジ メチル水銀中毒は症候学的、毒物動態学的にメチル 水銀化合物ばく露後に生じる現象と同等であるとの 記述、及び本物質単回ばく露5ヶ月後に遅延性に神 経症状が発現した症例から推測して、吸収されたジメ チル水銀は脂肪組織に分布蓄積し、徐々に脱メチル 体が遊離する可能性があるとの記述もある (Handbook on th Toxicology of Metals. 4th. ed., Volume II. pp. 1061 (2015))。したがって、本項の分類 には「メチル水銀」による生殖毒性情報の利用が可能 であると判断し、以下、メチル水銀の生殖発生毒性影 響に関して、JECFA FAS (2007)、ATSDR (2013)、 ACGIH (7th, 2001) からの記述内容、並びに本邦に おける水俣病問題に対する国の公式見解中の「胎児 性水俣病」に関する記述を引用し、分類することとす る。

WHOとFAOの合同専門家会議でメチル水銀のヒト健 康影響が評価された結果、ファロー諸島での本物質 にばく露された妊婦や子供の調査研究、並びに日 本、イラクで出生前から、又は生後にばく露された子 供を対象とした調査研究から、成長後に生じる微細な 運動制御機能の低下、視覚障害など神経行動学的 な有害影響に対する感受性は、母親の子宮内で胎児 のステージからの出生前ばく露でも、生後の乳幼児 からのばく露でも、いずれも脆弱性に差異はなく、妊 婦、乳幼児は特にハイリスクグループとして、汚染さ れた魚などからの摂取によるばく露を厳密に制限す べきとされた (JECFA FAS 58 (2007))。また、ヒトでは 妊娠中にメチル水銀にばく露された米国ミシガン州の 女性の集団のうち、出産までの妊娠期間が35週未満 の早産であったサブグループの毛髪中の水銀濃度 が同37週以上の完全な妊娠期間を経て出産した女 性のサブグループの同値の90%タイル (0.55~2.5 μ g/g) を超えるレベルを示す傾向にあった (ATSDR addendum (2013)) との記述がある。一方、メチル水 銀については胎児性水俣病と称される胎盤を経由し たメチル水銀中毒と新生児水俣病発症との因果関係 が明らかにされている。すなわち、有機水銀に汚染さ れた魚貝類を摂取することで、メチル水銀にばく露さ れた妊婦に神経症状がみられ、感覚障害から次第に 運動失調、視野狭窄へと進行していくが、生まれた子 供には知能障害、発育障害、言語障害、歩行障害、 姿体変性など脳性麻痺様の症状がみられ、成人の 場合と比べ重度である場合が多い。母体には臨床症 状を必ずしも示さない量のメチル水銀でも、胎児はメ チル水銀の排泄が悪く、感受性が高いことから水俣 病の影響を受けやすいと記述されている (平成27 (2015) 年6月 衆議院調査局環境調査室編集 水俣 病問題の概要 (2015))。この他、メチル水銀の実験動 物での主たる標的臓器は中枢神経系であり、メチル 水銀は実験動物及びヒトで催奇形性物質である (ACGIH (7th, 2001)) との記述もある。

以上、冒頭に記載したように、本項の分類には「メチ ル水銀」の毒性情報が適用可能と考え、本項の分類 は「区分1A 」とし、「授乳影響」を追加した。

本物質 (ジメチル水銀) に限定した生殖毒性影響の データはない。しかしながら、Handbook on the Toxicology of Metals (4th, ed., 2015) 中に、本物質は 吸入、又は経皮経路により効率的に吸収され、生体 内では「メチル水銀 (MeHg)」 に変換され、数症例の 致死的ばく露症例における中毒症状の記述から、ジ メチル水銀中毒は症候学的、毒物動態学的にメチル 水銀化合物ばく露後に生じる現象と同等であるとの 記述、及び本物質単回ばく露5ヶ月後に遅延性に神 経症状が発現した症例から推測して、吸収されたジメ チル水銀は脂肪組織に分布蓄積し、徐々に脱メチル 体が遊離する可能性があるとの記述もある (Handbook on th Toxicology of Metals. 4th. ed., Volume II. pp. 1061 (2015))。したがって、本項の分類 には「メチル水銀」による生殖毒性情報の利用が可能 であると判断し、以下、メチル水銀の生殖発生毒性影 響に関して、JECFA FAS (2007)、ATSDR (2013)、 ACGIH (7th, 2001) からの記述内容、並びに本邦に おける水俣病問題に対する国の公式見解中の「胎児 性水俣病」に関する記述を引用し、分類することとす る。

WHOとFAOの合同専門家会議でメチル水銀のヒト健 康影響が評価された結果、ファロー諸島での本物質 にばく露された妊婦や子供の調査研究、並びに日 本、イラクで出生前から、又は生後にばく露された子 供を対象とした調査研究から、成長後に生じる微細な 運動制御機能の低下、視覚障害など神経行動学的 な有害影響に対する感受性は、母親の子宮内で胎児 のステージからの出生前ばく露でも、生後の乳幼児 からのばく露でも、いずれも脆弱性に差異はなく、妊 婦、乳幼児は特にハイリスクグループとして、汚染さ れた魚などからの摂取によるばく露を厳密に制限す べきとされた (JECFA FAS 58 (2007))。また、ヒトでは 妊娠中にメチル水銀にばく露された米国ミシガン州の 女性の集団のうち、出産までの妊娠期間が35週未満 の早産であったサブグループの毛髪中の水銀濃度 が同37週以上の完全な妊娠期間を経て出産した女 性のサブグループの同値の90%タイル (0.55~2.5 μ g/g) を超えるレベルを示す傾向にあった (ATSDR addendum (2013)) との記述がある。一方、メチル水 銀については胎児性水俣病と称される胎盤を経由し たメチル水銀中毒と新生児水俣病発症との因果関係 が明らかにされている。すなわち、有機水銀に汚染さ れた魚貝類を摂取することで、メチル水銀にばく露さ れた妊婦に神経症状がみられ、感覚障害から次第に 運動失調、視野狭窄へと進行していくが、生まれた子 供には知能障害、発育障害、言語障害、歩行障害、 姿体変性など脳性麻痺様の症状がみられ、成人の 場合と比べ重度である場合が多い。母体には臨床症 状を必ずしも示さない量のメチル水銀でも、胎児はメ チル水銀の排泄が悪く、感受性が高いことから水俣 病の影響を受けやすいと記述されている (平成27 (2015) 年6月 衆議院調査局環境調査室編集 水俣 病問題の概要 (2015))。この他、メチル水銀の実験動 物での主たる標的臓器は中枢神経系であり、メチル 水銀は実験動物及びヒトで催奇形性物質である (ACGIH (7th, 2001)) との記述もある。

以上、冒頭に記載したように、本項の分類には「メチ ル水銀」の毒性情報が適用可能と考え、本項の分類 は「区分1A 」とし、「授乳影響」を追加した。 P201: 使用前に取

扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

危険 健康有害性 区分1A

(9)

分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

2017/2/23 修正 米国の複数の病院で1940~1955年に生まれた新生

児の疾病率と死亡率との記録を調べた遡及的疫学 研究の結果、本物質が混入した水道水を摂取した近 隣の病院患者の集団では、本物質を含まない水道水 を摂取した病院患者の集団と比べて、早産の発生率 が有意に高いと報告されたが、早産の判定は医師の 評価によるもので客観的な判断基準を欠いており、ま た、早産の頻度は病院間で大きく異なっていた。さら に、本物質へのばく露の程度についても情報がなく、 交絡因子についての解析も不十分なため、本結果か ら結論を導くことはできないと報告されている (CICAD 37 (2002))。この他、ヒトでの生殖影響に関する有用 な知見はない。

一方、実験動物ではラットに本物質の水溶液を雄に 交配前8週間、雌には交配前2週間、及び交配、妊娠 期間を経て哺育5日まで、最大10 mg/kg/day を強制 経口投与した1世代試験において、親動物の生殖能 に影響はなく、児動物にも同腹児数、離乳までの生 存率、離乳時の生殖器官重量に対照群と差異はみら れず、親動物、児動物に対するNOAELはともに10 mg/kg/dayであったと報告されている (SIDS (2009)、 IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。しかしな がら、発生毒性影響としては、ラット (SD系) に交配2 週間前から児動物が離乳する生後21日まで、本物質 を経口 (飲水) 経路で投与した試験において、100 ppm (約14 mg/kg/day) では、児動物に離乳時までの 体重の低値推移、自発運動の減少、離乳時の小脳 DNA含量の減少、及び離乳時の血清T4値の減少が みられ、母動物への飲水を介した本物質ばく露によ る神経行動影響に対するLOAELは14 mg/kg/day、同 NOAELは3 mg/kg/dayと設定されている (SIDS (2009)、IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。 なお、別系統 (Long-Evans) のラット母動物に対し、 14 mg/kg/dayを強制経口投与 (分娩後、新生児の生 後0~21日相当日 (離乳時) まで) し、新生児を生後 35日まで観察した試験においても、児動物の体重の 低値推移、離乳時及び生後35日における大脳の絶 対重量、DNA含量、タンパク含量の減少がみられたと の報告がある (SIDS (2009)、IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。

以上、実験動物では本物質水溶液を妊娠期、又は授 乳期に経口経路で投与されたラットでは、児動物の 生後の成長及び脳神経系発達障害を示唆する所見 が示され、甲状腺ホルモンなど内分泌系の関与を介 した影響の可能性が想定されている (SIDS (2009)、 ATSDR (2004))。ただし、SIDSは上記の複数の発生 毒性試験がGLP対応のガイドライン試験でなく、限定 的なプロトコールの試験であること、本物質ナトリウム 塩 (亜塩素酸ナトリウム) を用いたラット2世代生殖毒 性試験ではF1児動物の生後25日の検査において、 血清T3及びT4値に変化はなく、本物質を用いた発生 毒性試験結果と矛盾することを指摘し、以上の発生 毒性試験はキースタディとは扱えないと慎重な判断 を下している (SIDS (2009))。これに対し、ATSDRでは 本物質経口ばく露による神経発達毒性影響を重視 し、SIDSが引用した上記の亜塩素酸ナトリウムを用 いたラット飲水投与による2世代生殖毒性試験におい て、中用量投与 (6 mg/kg/day) した親動物から生ま れたF1児動物の聴覚驚愕刺激に対する反応性低下 (生後24日) を発達神経毒性影響として扱い、この所 見を基に最小リスクレベル (経口MRL) の算出根拠と している (ATSDR (2004))。以上より、妊娠期・授乳期 への本物質ばく露は低用量から新生児に神経系発 達障害を及ぼす可能性があることから、本項は区分 1Bとし、授乳影響を追加した。

区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響、

健康有害性危険 H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

米国の複数の病院で1940~1955年に生まれた新生 児の疾病率と死亡率との記録を調べた遡及的疫学 研究の結果、本物質が混入した水道水を摂取した近 隣の病院患者の集団では、本物質を含まない水道水 を摂取した病院患者の集団と比べて、早産の発生率 が有意に高いと報告されたが、早産の判定は医師の 評価によるもので客観的な判断基準を欠いており、ま た、早産の頻度は病院間で大きく異なっていた。さら に、本物質へのばく露の程度についても情報がなく、 交絡因子についての解析も不十分なため、本結果か ら結論を導くことはできないと報告されている (CICAD 37 (2002))。この他、ヒトでの生殖影響に関する有用 な知見はない。

一方、実験動物ではラットに本物質の水溶液を雄に 交配前8週間、雌には交配前2週間、及び交配、妊娠 期間を経て哺育5日まで、最大10 mg/kg/day を強制 経口投与した1世代試験において、親動物の生殖能 に影響はなく、児動物にも同腹児数、離乳までの生 存率、離乳時の生殖器官重量に対照群と差異はみら れず、親動物、児動物に対するNOAELはともに10 mg/kg/dayであったと報告されている (SIDS (2009)、 IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。しかしな がら、発生毒性影響としては、ラット (SD系) に交配2 週間前から児動物が離乳する生後21日まで、本物質 を経口 (飲水) 経路で投与した試験において、100 ppm (約14 mg/kg/day) では、児動物に離乳時までの 体重の低値推移、自発運動の減少、離乳時の小脳 DNA含量の減少、及び離乳時の血清T4値の減少が みられ、母動物への飲水を介した本物質ばく露によ る神経行動影響に対するLOAELは14 mg/kg/day、同 NOAELは3 mg/kg/dayと設定されている (SIDS (2009)、IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。 なお、別系統 (Long-Evans) のラット母動物に対し、 14 mg/kg/dayを強制経口投与 (分娩後、新生児の生 後0~21日相当日 (離乳時) まで) し、新生児を生後 35日まで観察した試験においても、児動物の体重の 低値推移、離乳時及び生後35日における大脳の絶 対重量、DNA含量、タンパク含量の減少がみられたと の報告がある (SIDS (2009)、IRIS Tox. Review (2000)、CICAD 37 (2002))。

以上、実験動物では本物質水溶液を妊娠期、又は授 乳期に経口経路で投与されたラットでは、児動物の 生後の成長及び脳神経系発達障害を示唆する所見 が示され、甲状腺ホルモンなど内分泌系の関与を介 した影響の可能性が想定されている (SIDS (2009)、 ATSDR (2004))。ただし、SIDSは上記の複数の発生 毒性試験がGLP対応のガイドライン試験でなく、限定 的なプロトコールの試験であること、本物質ナトリウム 塩 (亜塩素酸ナトリウム) を用いたラット2世代生殖毒 性試験ではF1児動物の生後25日の検査において、 血清T3及びT4値に変化はなく、本物質を用いた発生 毒性試験結果と矛盾することを指摘し、以上の発生 毒性試験はキースタディとは扱えないと慎重な判断 を下している (SIDS (2009))。これに対し、ATSDRでは 本物質経口ばく露による神経発達毒性影響を重視 し、SIDSが引用した上記の亜塩素酸ナトリウムを用 いたラット飲水投与による2世代生殖毒性試験におい て、中用量投与 (6 mg/kg/day) した親動物から生ま れたF1児動物の聴覚驚愕刺激に対する反応性低下 (生後24日) を発達神経毒性影響として扱い、この所 見を基に最小リスクレベル (経口MRL) の算出根拠と している (ATSDR (2004))。以上より、妊娠期・授乳期 への本物質ばく露は低用量から新生児に神経系発 達障害を及ぼす可能性があることから、本項は区分 1Bとし、授乳影響を追加した。

H27-B- 069/C-105B_P

二酸化塩素 10049-04-4 生殖毒性 区分1B 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響、

(10)

-分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点 分類結果 絵表示 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点

物質ID 物質名 CAS番号 項目

修正前 修正後

備考

区分1B 追加区分: 授乳によ る、又は授 乳を介した 影響

妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に金属テル ルを混餌投与 (165~220 mg/kg/day) した試験で、水 頭症の発生頻度の増加がみられた (DFGOT vol. 22 (2006)、PATTY (6th, 2012)) との報告、妊娠ラットに 金属テルルを妊娠期間中混餌投与した試験では、胎 児に脳症の発生頻度の増加がみられた (ACGIH (7th, 2001)) との報告、及び妊娠ラットに二酸化テル ルを妊娠15~19日に混餌投与 (13~65 mg/kg/day) した試験で、水頭症、浮腫、眼球突出の発生頻度の 増加がみられた (DFGOT vol. 22 (2006)) との記述が ある。さらに、新生児ラットでは生後0~28日まで母乳 を介してテルル (tellurium) にばく露された結果、坐骨 神経のシュワン細胞及びミエリン変性がみられ、中枢 では視神経の低ミエリン形成とミエリン変性がみられ た (PATTY (6th, 2012)) との報告がある。

以上、妊娠動物に経口投与した結果、母動物での毒 性影響が不明な用量で、胎児に水頭症など外表奇形 の誘発、及び脳症の発症が示され、新生児期に母乳 を介した本物質ばく露によっても、末梢神経、視神経 にミエリン形成阻害がみられたことから、胎生期、新 生時期に本物質経口ばく露により、次世代の神経系 発生・発達障害を生じる知見が複数示されたため、本 項の分類は区分1Bが妥当と判断し、授乳影響を追加 した。

2017/2/23 修正 区分1B

追加区分: 授乳によ る、又は授 乳を介した 影響 生殖毒性

13494-80-9 テルル

H27-B- 075/C-122B_P

- 妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に金属テル

ルを混餌投与 (165~220 mg/kg/day) した試験で、水 頭症の発生頻度の増加がみられた (DFGOT vol. 22 (2006)、PATTY (6th, 2012)) との報告、妊娠ラットに 金属テルルを妊娠期間中混餌投与した試験では、胎 児に脳症の発生頻度の増加がみられた (ACGIH (7th, 2001)) との報告、及び妊娠ラットに二酸化テル ルを妊娠15~19日に混餌投与 (13~65 mg/kg/day) した試験で、水頭症、浮腫、眼球突出の発生頻度の 増加がみられた (DFGOT vol. 22 (2006)) との記述が ある。さらに、新生児ラットでは生後0~28日まで母乳 を介してテルル (tellurium) にばく露された結果、坐骨 神経のシュワン細胞及びミエリン変性がみられ、中枢 では視神経の低ミエリン形成とミエリン変性がみられ た (PATTY (6th, 2012)) との報告がある。

以上、妊娠動物に経口投与した結果、母動物での毒 性影響が不明な用量で、胎児に水頭症など外表奇形 の誘発、及び脳症の発症が示され、新生児期に母乳 を介した本物質ばく露によっても、末梢神経、視神経 にミエリン形成阻害がみられたことから、胎生期、新 生時期に本物質経口ばく露により、次世代の神経系 発生・発達障害を生じる知見が複数示されたため、本 項の分類は区分1Bが妥当と判断し、授乳影響を追加 した。

P201: 使用前に取 扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

危険 健康有害性

2017/2/23 修正

H27-B- 070/C-106B_P

区分1A 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響

健康有害性危険 H360: 生殖能また は胎児への悪影響 のおそれ H362: 授乳中の子 に害を及ぼすおそ れ

-区分1A 追加区分: 授乳に対す る、又は授 乳を介した 影響 生殖毒性

1763-23-1 ペルフルオロ(オクタ

ン-1-スルホン酸)

本物質 (PFOS) のヒト生殖影響に関する疫学報告は 主として2007年以降に公表され、draft ATSDR (2015) に比較的新しく集積した知見が包括的に収載されて いる。それによる総括的な要点として、本物質は類似 物質のペルフルオロオクタン酸 (PFOA: CAS番号: 335-67-1) と同様に、ヒトの母乳及び臍帯血サンプル 中に同程度のレベルで検出される (draft ATSDR (2015)) との記述、及び一般住民又は高濃度汚染地 区居住民を対象とした疫学研究から、母親の血清中 PFOS及びPFOAの高濃度と出生時体重の低値との 間に相関性がみられることを示す証拠があるとの記 述がある (draft ATSDR (2015))。

一方、実験動物では本物質カリウム塩を妊娠ラットの 器官形成期に経口投与した複数の試験で、胎児に奇 形発生 (口蓋裂、胸骨分節欠損、全身浮腫/皮下水 腫、心室中隔欠損など) の増加が認められており、妊 娠マウスを用いた試験でも同様の奇形発生の増加が みられている。これらの多くは母動物毒性がみられる 用量での影響であったが、母親ラットに影響のない1 mg/kg/day以上で胎児に眼 (レンズ) の奇形 (異常) がみられたとの報告の記述もある (環境省リスク評価 第6巻 (2008)、OECD ENV/JM/RD (2002)、draft ATSDR (2015))。既存分類結果としては、EUが「Repr. 1B & Lact.」 に分類している (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

以上、本物質は妊婦へのばく露により低体重児を生 じるリスクのあること、母乳中に排泄されること、実験 動物で奇形発生を含む発生毒性誘発が明確であるこ とから、区分1Aとし、授乳影響を追加した。 なお、本物質の構造類似化合物であるPFOAに関し ては、日本産業衛生学会が「生殖毒性物質第1群」に 分類している (許容濃度の勧告 (2015)) こと、かつ母 乳中に検出され授乳影響が懸念されることを根拠 に、「区分1A、追加区分:授乳影響」とした (詳細は PFOAの本項を参照のこと)。

- P201: 使用前に取

扱説明書を入手す ること。

P202: 全ての安全 注意を読み理解す るまで取り扱わない こと。

P260: 粉じん/煙/ガ ス/ミスト/蒸気/ス プレーを吸入しない こと。

P263: 妊娠中およ び授乳期中は接触 を避けること。 P264: 取扱後は… をよく洗うこと。 P270:この製品を使 用する時に、飲食ま たは喫煙をしないこ と。

P280: 保護手袋/保 護衣/保護眼鏡/保 護面を着用するこ と。

P308+P313: ばく露 またはばく露の懸 念がある場合:医師 の診察/手当てを受 けること。 P405: 施錠して保管 すること。 P501: 内容物/容器 を...に廃棄する こと。

本物質 (PFOS) のヒト生殖影響に関する疫学報告は 主として2007年以降に公表され、draft ATSDR (2015) に比較的新しく集積した知見が包括的に収載されて いる。それによる総括的な要点として、本物質は類似 物質のペルフルオロオクタン酸 (PFOA: CAS番号: 335-67-1) と同様に、ヒトの母乳及び臍帯血サンプル 中に同程度のレベルで検出される (draft ATSDR (2015)) との記述、及び一般住民又は高濃度汚染地 区居住民を対象とした疫学研究から、母親の血清中 PFOS及びPFOAの高濃度と出生時体重の低値との 間に相関性がみられることを示す証拠があるとの記 述がある (draft ATSDR (2015))。

一方、実験動物では本物質カリウム塩を妊娠ラットの 器官形成期に経口投与した複数の試験で、胎児に奇 形発生 (口蓋裂、胸骨分節欠損、全身浮腫/皮下水 腫、心室中隔欠損など) の増加が認められており、妊 娠マウスを用いた試験でも同様の奇形発生の増加が みられている。これらの多くは母動物毒性がみられる 用量での影響であったが、母親ラットに影響のない1 mg/kg/day以上で胎児に眼 (レンズ) の奇形 (異常) がみられたとの報告の記述もある (環境省リスク評価 第6巻 (2008)、OECD ENV/JM/RD (2002)、draft ATSDR (2015))。既存分類結果としては、EUが「Repr. 1B & Lact.」 に分類している (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

参照

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